辞書の編集

はじめに
編集を始めるための準備
辞書項目の追加
辞書項目の編集
データの書き方
索引キー
見出し語
語義説明
他の項目への参照
URL への参照
辞書項目エディタの便利な機能
プロジェクトのエクスポート
特定のレキシコンだけをエクスポートする場合
プロジェクト全体をエクスポートする場合

はじめに

LBE を使用して複数の編集者による共同作業で辞書を編纂する場合、 通常はそれぞれの編集者が一つのレキシコンだけを編集します。 そして、編集者たちは作業の進み具合に応じて時々レキシコンファイルを互いに交換します。 これを辞書の同期と呼びます。
自宅と職場で辞書編集作業を行いたいなどの場合には、自宅用と職場用の二つの レキシコンを持つと便利です。このケースでは、自宅の自分と職場の自分は別人格 であると考えて、以下の説明をお読みください。
編集者 A は別の編集者 B の作ったレキシコンを直接書き換えることはできません。 仮に直接書き換えたとしても、次に辞書を同期する際に修正個所は元に戻ってしまいます。
もし、A が B の執筆した特定の項目の内容を修正したい場合、A は B のレキシコン からその項目をコピーしてそれを修正します。 この結果、辞書の読者(利用者)は、この項目について A の版 と B の版が並列しているのを見ることになります。
同一の項目について複数の版が並列すると辞書の読者はわずらわしく思うかもしれませんが、 進行中の編纂プロジェクトの成果を利用する場合には、仕方のないことです。 改訂日時の新しい記述の方が正しいとは必ずしも言えないので、 機械的にどちらか一方だけを表示することはできません。
編集者ごとの執筆範囲が明確に分けられていない場合、辞書の同期をかなり頻繁に行う 必要があります。編集者 A がある見出し語についてすでに説明を書き終わっているのに、 別の編集者 B が同じ見出し語についての説明を書き始めるのは無駄です。 完全にこの無駄を避けることはできませんが、辞書の同期の頻度が高いほど、 このような偶然の衝突が起こる可能性が低くなります。

編集を始めるための準備

新たにプロジェクトの編集者に加わった人は、次の手順で自分のレキシコンを作成します。
  1. [プロジェクト]メニューの[プロパティ]をクリックする。
  2. レキシコンリストを調べて、それらのいずれかと重複しないように自分のレキシコンの名前を決める。(例:foo)
  3. [追加]ボタンをクリックする。
  4. [ファイル名]欄に自分のレキシコンの名前に ".lex" を付加したもの(例:foo.lex)を記入し、[開く]ボタンをクリックする。
  5. 「ファイル '...' は存在しません。作成しますか?」という質問を表示するダイアローグボックスに対し、[はい]ボタンをクリックする。
  6. レキシコンリストの最下行に新たなレキシコンが追加されているので、それの [編集可能]カラムの チェックボックスをチェックする。
  7. [OK]ボタンをクリックする。
すでにプロジェクトの編集者に加わっている人は、プロジェクトの構成ファイルをまとめたアーカイブファイルをインストールした後に、自分のレキシコンを編集可能(editable)に設定する必要があります。
  1. [プロジェクト]メニューの[プロパティ]をクリックする。
  2. レキシコンリストの中から自分のレキシコンを選び、その[編集可能]カラムのチェックボックスをチェックする。
  3. [OK]ボタンをクリックする。
アーカイブファイルによるプロジェクトのアップデートを行うと、project.properties ファイルが上書きされてしまい、自分のレキシコンに設定された編集可能(editable)属性が消えてしまうことがあります。この場合は、上の手順で再設定を行ってください。

辞書項目の追加

Lookup 欄にプロジェクトに含まれていない語句を入力し、ツールバーにある ボタンをクリックするか、Ctrl-N を押すと、編集ダイアローグが現われます。
辞書項目を追加するには、編集可能なレキシコンがプロジェクトの中に存在しなければなりません。編集可能なレキシコンがない場合、エコー領域に「このプロジェクトには編集可能なレキシコンがありません。」というメッセージが表示され、編集ダイアローグは現われません。
編集可能なレキシコンがプロジェクトの中に複数存在する場合、どちらのレキシコンに辞書項目を追加するか尋ねられます。
編集ダイアローグには次のような入力フィールドがあります。
各入力フィールドを実際にどのような用途で用いるかは、辞書編纂プロジェクト参加者の考え方次第です。

辞書項目の編集

右の欄に辞書項目が表示された状態でツールバーにある ボタンをクリックするか Ctrl-E を押すと、その項目の編集ダイアローグが現われます。
「はじめに」で説明したように、他の編纂者が執筆した辞書項目を修正する場合は、その辞書項目のコピーを修正して、自分のレキシコンに追加する形になります。実際には、「辞書項目のコピー」は自動的に行われるので、編集者がそれを意識することはほとんどありません。
辞書項目そのものを修正しているのか、辞書項目のコピーを修正しているのかは、編集ダイアローグの OK ボタンの左の表示で分かります。
辞書項目そのものを修正している場合は、 gjdic\foo.lex のように修正するレキシコンの名前(データディレクトリからの相対パス)だけが表示されますが、辞書項目のコピーを修正している場合は、 gjdic\foo.lex gjdic\bar.lex のように、修正された辞書項目を追加するレキシコンの名前が の右に表示されます。
ある辞書項目が複数のレキシコンに登録されている場合、レキシコンを選択するダイアローグが現われます。
それらのレキシコンの中に編集可能なレキシコンが 1 つしか存在しない場合など、どれを修正すべきか自明であるときは、レキシコンを選択するダイアローグは表示されません。

索引キーと見出し語

索引キー

索引キーと見出し語の違いに注意してください。索引キーは辞書を引くときにユーザーが入力する文字列で、見出し語は LBE の見出し語欄に表示される文字列です。索引キーと見出し語は同じになることもありますが、一般には異なります。
索引キーは辞書項目を“辞書順”に並べるために利用されますので、文字コードの大小で並べた場合と同じ順序になるように見出し語を変換する必要があります。アルファベットを用いる言語の辞書では、以下のルールに従って変換を行います。
  1. 各文字からアクセント記号その他の付加記号を除去する。(例:ü → u)
  2. 合次を分かち書きにする。(例:æ → ae)
  3. 大文字を小文字に変える。
  4. 空白文字、ハイフン、ピリオドを除去する。
見出し語索引キー
clichécliche
Jupiterjupiter
U.S.Ausa
look uplookup
sharp-edgedsharpedged
一つのレキシコンに同一の索引キーは二つ以上存在できません。しかし、上記のルールを適用すると、英語の疑問詞 who と国際機関の WHO は同じ索引キーワードになってしまいます。この場合、索引キーワードとして who #1who #2 を使って区別してください。
# を用いて索引キーワードが重ならないようにする方法には、大きな問題点が存在します。今、A さんが who に対して who #1 を割り当て、WHO に対して who #2 を割り当てたのですが、B さんはあべこべに割り当てたします。 このとき、LBE は、A さんの who と B さんの WHO を同じものとして表示してしまいます。さらに、C さんが、WHO の存在に気付かずに who だけを入力してしまうと、# で区別する必要がありませんから、索引キーが who である第三の辞書項目ができてしまうのです。この問題に対する単純な解決法は見つかっていません。辞書編纂プロジェクト参加者同士でどの見出し語にどの番号を割り振るか調整するしかないようです。
熟語を見出しに立てる場合、次の節で説明するように、コンマ(",")とチルダ("~")を用いた特別な記法を使用します。コンマは索引キーにおいても省略しません。また、チルダは元に戻します。しかし、空白文字、ハイフン、ピリオドについては省いてください。
見出し語索引キー
fool, make a ~ offool,makeafoolof
shoot, be shot through withshoot,beshotthroughwith

見出し語

通常、見出し語の入力フィールドには見出し語をそのまま(アクセント記号などを除かずに)書きますが、熟語を見出しに立てる場合には、特別な記法を使用します。次の手順で変換してください。
  1. 熟語の中心となる語を抜き出し、その原形を語頭に置く。
  2. 次に、カンマ(",")と空白文字(" ")を追加する。
  3. 熟語の全体を追加する。ただし、「中心となる語」の原形とまったく同じ形の部分をチルダ("~")で置き換える。
変換前変換後
make a fool offool, make a ~ of
be shot through withshoot, be shot through with
普通の辞書では、熟語はその中心となる語に対応する辞書項目の内部で記述されます。例えば、"make a fool of" という熟語は "fool" の項で説明されます。しかし、今のところ LBE にはそのための仕組みがありませんので、"make a fool of" を単独の項目として立てざるを得ません。

タグ

文法、語義説明、用例、複合語、熟語、派生語、語源、注の各欄においては、 様々なタグが使用可能です。
タグには PDIC タグLBE タグの 2 種類があり、 一つのフィールドデータ内部で両者を混在させることはできません。

PDIC タグ

<word:xxx>

このタグは他の辞書項目への参照をデータの中に置くために用います。 xxx の部分には索引キー(見出し語ではない!)を挿入してください。 例えば、"artichoke" への参照を置くには、<word:artichoke> と書きます。 辞書項目表示欄ではこれが artichoke の ように表示され、ユーザーはこの文字列をクリックすることにより、 項目 "artichoke" にジャンプすることができます。 項目 "artichoke" が存在しなければ、「artichoke -- 該当する辞書項目はありません。」 とエコー欄に表示されます。

<http://xxx>

このタグはウェブページへのリンクをデータの中に置くために用います。 xxx の部分にはウェブページのアドレスを挿入してください。 例えば、LBE のホームページへのリンクを置くには、 <http://lambdapage.org/lbe> と書きます。 辞書項目表示欄ではこれが http://lambdapage.org/lbe の ように表示され、ユーザーがこの文字列をクリックすると インターネットブラウザが開いて LBE のホームページが表示されます。

改行文字

(現時点では)語義説明欄にのみ適用されるルールですが、 改行文字はセクション区切りとして解釈されます。 セクションごとに段落がえが起こり、その先頭に自動的に番号が振られます(右図)。
男 〔特に〕成人男性 〔日常〕夫 一人前の男、男らしい男 〔複数〕《自分の指揮下の》兵士たち、隊員たち
改行文字がセクション区切りとして解釈されるのは、 LBE タグが使用されていないときのみです。

その他の PDIC タグ

以下の PDIC タグはサポートされておりません。 おそらく将来的にもサポートされません。
    <→xxx> <mailto:xxx> <file:xxx>
  

LBE タグ

LBE タグは XML のタグと同じ形をしており、 用語及び使用規則もほぼ共通しています。
<ref> と </ref> は ref 要素(エレメント)の 始点と終点を示し、前者は開始タグ、後者は終了タグと呼ばれます。 また、<ref> と </ref> ではさまれた部分全体は内容と 呼ばれます。
必ず開始タグと終了タグは 1 対 1 に対応していなければなりません。 要素と要素を入れ子にすることはできますが、外側の要素を終了タグで 閉じる前に必ず内側のすべての要素を閉じなければなりません。
<s></s> のように内容が空の要素は、 <s/> のように 1 個のタグで記述することができます。 これは空要素タグ呼ばれます。
タグによっては、<ref keyword="apple"> のように 属性を持つ場合があります。 この例では、keyword が属性の名前で、apple が 属性のです。属性の名前と値は等号(=)で結び、 属性の値は対応する二重引用符(")または一重引用符(')で 囲まなければなりません。
フィールドデータの中に LBE タグが存在する場合、 LBE は全体を <root> と >/root> で囲み、 先頭に <?xml version="1.0"?> を付け加えて、 XML パーサに送るという処理を内部で行っています。 XML パーサがエラーを返した場合には、PDIC タグ用の ルーチンを呼んで、タグをそのまま表示します。

ref

ref 要素は他の辞書項目への参照をデータの中に置くために用います。
keyword 属性に索引キーを指定し、コンテンツに見出し語を指定します。 次の例は、cliché のように 表示され、ユーザーがこの文字列をクリックすると、 索引キーが cliche である辞書項目にジャンプします。
  <ref keyword="cliche">cliché</ref>
索引キーと見出し語が同一の辞書項目を参照する場合は、 keyword 属性を省略することができます。
  <ref>syndrome</ref>

a

a 要素は他のウェブページへのリンクをデータの中に置くために用います。
href 属性にウェブページの URL を指定し、ウェブページの題名を「内容」とします。 次の例は、LBE Home Page のように 表示され、ユーザーがこの文字列をクリックすると、 標準のブラウザが起動して、LBE Home Page が表示されます。
  <a href="http://lambdapage.org/lbe">LBE Home Page</a>

s

s 要素はセクション区切りの位置を示すために用います。 必ず空要素です。
直前で改行され、番号(1, 2, 3, ...)が自動的に振られます。
  <s/> 歌う、歌うように言う
  <s/> 《鳥が》鳴く、さえずる

ss

ss 要素はセクションの中をさらにサブセクションで区切る位置を 示すために用います。必ず空要素です。
直前で改行され、記号((a), (b), (c), ...)が自動的に振られます。
  <s/> 老いた、年寄りの
  <s/>
  <ss/>古い、老朽化した
  <ss/>古くからの、昔馴染みの
  <ss/>旧式な、古臭い

part

part 要素はセクションの上位区分を示すために用います。必ず空要素です。
直前で改行され、記号(A, B, C, ...)が自動的に振られます。

ex

ex 要素は語義説明欄の中などで例文を示すために用います。
  <s/> 歌う、歌うように言う
    <ex>sing a song</ex>
    <ex>sing in tune</ex>
  <s/> 《鳥が》鳴く、さえずる

note

note 要素は語義説明欄の中などに注釈を書き入れるために用います。

辞書項目エディタの便利な機能

文法、語義説明など「改行可能な入力欄」では、以下のショートカットキーが使えます。 また、これらのコマンドは、コンテキストメニュー(ポップアップメニュー)を用いても実行可能です(一部を除く)。
Ctrl-X 切り取り
Ctrl-C コピー
Ctrl-V 貼り付け
Ctrl-A すべて選択
Ctrl-Z 元に戻す
Ctrl-Y やり直し
Ctrl-N 次のタブ(Next Tab)
Ctrl-P 前のタブ(Previous Tab)
Ctrl+Shift-R "ref" タグを挿入
Ctrl+Shift-A "a" タグを挿入
Ctrl+Shift-S "s" タグを挿入
Ctrl+Shift-W "ss" タグを挿入
Ctrl+Shift-P "part" タグを挿入
Ctrl+Shift-E "ex" タグを挿入
Ctrl+Shift-N "note" タグを挿入
Ctrl+Shift-L PDIC タグを LBE タグに一括変換
文字列が選択されている時にタグ挿入コマンドを実行すると、その文字列を囲むように開始タグと終了タグが挿入されます。
見出し語、発音などの「改行できない入力欄」では、以下のコマンドのみが使用できます。
Ctrl-X 切り取り
Ctrl-C コピー
Ctrl-V 貼り付け
Ctrl-A すべて選択
なお、辞書項目エディタに限りませんが、Tab キーで次の項目にフォーカスを移し、Shift+Tab キーで前の項目にフォーカスを移すことができます。

プロジェクトのエクスポート

特定のレキシコンだけをエクスポートする場合

複数の編集者による共同作業で辞書を編纂しているのであれば、辞書の同期を行うために、 あなたが編集しているレキシコンを他の編集者たちに送る必要があります。 通常は、扱いやすくするために Zip 形式で圧縮します。手順は次の通りです。
  1. [プロジェクト]メニューの[エクスポート]を選んで、[プロジェクト・エクスポート]ダイアローグを開く。
  2. [Zip ファイル・パス]欄にエクスポートする先のファイル名を指定する。欄の右にある[…]ボタンをクリックしてファイル選択ダイアローグで選んでもよい。
  3. [選択されたレキシコンだけを含める]ラジオボタンを選択する。
  4. あなたの編集しているレキシコンの[エクスポート]チェックボックスをチェックする。
  5. [エクスポート]ボタンをクリックする。

プロジェクト全体をエクスポートする場合

プロジェクト全体を Zip 形式で圧縮して別のファイルにエクスポートする手順は以下の通りです。
  1. [プロジェクト]メニューの[エクスポート]を選んで、[プロジェクト・エクスポート]ダイアローグを開く。
  2. [Zip ファイル・パス]欄にエクスポートする先のファイル名を指定する。欄の右にある[…]ボタンをクリックしてファイル選択ダイアローグで選んでもよい。
  3. [プロジェクト定義ファイルを含めるチェックボックスをチェックする。]
  4. [説明文書ファイル群を含める]チェックボックスをチェックする。
  5. [エクスポート]ボタンをクリックする。
一般向けに辞書(プロジェクト)を公開する場合は、プロジェクト定義ファイルを必ず含めなければなりません。 また、存在するならば、説明文書ファイル群も含めるべきです。 しかし、通常、マーカーファイルは一般公開用の Zip ファイルに含めません。

(C) 黒田努 <tkrd@mail.com> (2002-08-12) (2003-02-10)